DIY・セルフリノベーションの落とし穴
「業者に頼まず自分でリフォームすれば安く済む」——近年、DIYやセルフリノベーションを楽しむ人が増えている。しかし、ここには見落とされがちな法的リスクが潜んでいる。アスベストの事前調査義務は、業者に発注する工事だけでなく、個人が自分で行う工事にも及んでいるからだ。
「自分の家だから関係ない」は誤解
石綿障害予防規則・大気汚染防止法に基づく事前調査は、解体・改修工事を業者に依頼する場合はもちろん、所有者自身が施工する「自主施工」の場合も対象に含まれる。つまり、壁を自分で壊す、床材を自分で剥がすといったDIY作業であっても、法律上は事前調査の義務から逃れられない。「業者を通していないから大丈夫」という思い込みは、そのまま法令違反につながりかねない。
どこまでが「調査不要」なのか
すべてのDIYが調査を必要とするわけではない。アスベストを含んでいないことが明らかな建材(木材や、非含有と確認できる石膏ボードなど)への釘打ちやビス止め、穴あけといった軽微な作業は、事前調査が不要とされる場合がある。ただし、これはあくまで「対象建材にアスベストが含まれていないことが明らかな場合」に限られる。築年数の古い住宅で、壁の内側や床下の建材が何でできているか分からないまま作業を始めるのは、極めてリスクが高い。
見えないところに潜むリスク
DIYで特に危険なのが、天井裏の断熱材、床下のケイ酸カルシウム板、古いビニル床タイルなど、目視だけでは判別しにくい建材の存在だ。プロの調査であれば書面調査・目視調査・分析調査という手順を踏むが、個人がその場の判断で「たぶん大丈夫だろう」と作業を進めてしまうと、気づかないうちにアスベストを含む建材を切断・破砕し、粉じんを室内にまき散らしてしまう可能性がある。
費用や手間を省きたい気持ちは理解できるが、2006年9月以前に建てられた建物でのDIYは、着工前に着工年月日の確認と、疑わしい建材があれば専門家への相談を検討することが、結果的に一番の近道になる。
